「どうなっても知らねーぞ…」
ため息交じりのリズに対し、楽しそうなパティはキッドと手を繋いで校庭に出た。
「シンメトリーじゃない!リズ、こっちの手も繋いでくれ!!」
涙目のキッドにせがまれ、リズは差し出されているキッドの手を取った。
それをうらやましそうに見つめるソウルとマカ。





パン☆ぷりん☆パニック その2





「よし!いくぜ転校生!!」
ブラック☆スターに対峙するキッドは、いつものキッドと変わらず凛とその場に立つ。
性別が男性だろと女性だろうと、神の持つ神々しさは流石、と言ったところか。
「ブラック☆スター…オレはお前と戦う理由がないのだが…」
一応、断りを入れるキッドだが、ブラック☆スターが聞く耳など持つはずもない。
「うるせー!転校生の分際でオレ様より目立つなんて赦せねー!」
「いや、だからオレはキッドだと…」
言っている、と続けようとしてブラック☆スターのとび蹴りが飛んできた。
「おわっ!」
紙一重でかわしながら、二人を見守るマカ、ソウル、椿を見やる。
その背後にはシュタインの姿もあった。
立会人、ということだろうか。
「キッドー、コレが終わったら事の原因を説明してあげるから」
ニコっと決して善人面ではない笑顔でシュタインから告げられ、キッドも覚悟を決めた。
「ふぅ…仕方ないのか…」
そして、一度瞳を閉じ、繰り出されるブラック☆スターのパンチをひらりとかわし半眼を開く。
続いてすさまじいスピードで繰り出された蹴りも難なくかわし、
そのままキッドは宙を一回転してふわりと地上に降り立った。
「…死神体術『罪』の構え…」
ビシっと構えて立つその目の前に、何故かソウルが居た。
「…えっ?!…ソウ…」
急に目の前に飛び込んできたソウルに驚き、キッドの対応が一瞬遅れた。
ブラック☆スターの蹴りが飛んできたのだがそれをかわす暇がなく、ガードで受け止めるしか方法がない、と
わずか数瞬のうちに判断したのだが。
間に割って入ったソウルがブラック☆スターの攻撃をもろに喰らってそのままキッドを押し倒す形で倒れこんでしまった。
「「ソウルっ?!」」
ブラック☆スターとキッドが叫んだのは同時で。
若干白目を剥き気味のソウルが幸せそうな顔をしていたのは言うまでもない。
「・・・・・・マカチョップ!」
そしてそんなソウルに対し、駆け寄ったマカから目覚めの一発。
「うっ…」
「ソウル!おまえ莫迦か!!割ってはいるなど…危ないだろう?!」
押し倒された状態から何とか上半身だけを起こし、
気がついたソウルの頭を抱えてキッドが幾分涙目で訴える。
現在女の子であるキッドの身体は全体的にやわらかく、ソウルを支える腕も、足も、胸もふっくらしている。
「キッド…そんな格好で飛んだり跳ねたりしたら、パンツ見えるだろ…」
「なっ…」
赤面するキッドに対し、鬼の形相のマカ。
「あー、そういや死神さまちゃんと下着まで女物用意してたもんなー」
あはは、と笑うリズとパティ。
さらに真っ赤になるキッド。
般若の形相となるマカ。
「ソウル…あんた…アタシには何も言わないのに、キッドには優しいのね…」
「クソ…鬱だ…死のう…」
真っ赤になった顔を両手で隠し、ソウルの頭を膝に乗せたままキッドは凹んでしまった。

置いてけぼりを食らっているブラック☆スターは、
興味をなくしたようにその場を去ってしまった。

「えー、じゃあ。今回キッドが女の子になっちゃった原因を説明したいんだけど、いいかな?」
へらへらと笑うシュタインに、一同の注目が集まった。
ちなみに、ソウルはマカチョップを3発喰らって三途の川付近を散歩中だ。





「で、どうも原因は魔女の変身魔法が掛けられてるようなんだ。」
ぽんぽん、とキッドの頭を撫でながらシュタインは告げた。
「魔女の変身魔法?なんでキッドに??」
シュタインの膝の上に座らされているキッド。
それを囲むようにしてめいめい座るマカ、ソウル、リズ、パティ。
マカとソウルは幾分不機嫌だ。
逆に、居心地悪そうにシュタインの膝の上で縮こまっているキッドは借りてきた猫のように大人しい。
「そこまでは分からないんだケド。
まぁいずれにしても魔女を見つけて魔法を解いてもらうか暫く様子見るかってところかな。」
キッドの頬を長い指で撫でながら、シュタインは首筋に唇を落とす。
びくりと肩をゆらすキッドを奪うように、マカはシュタインからキッドを引き離した。
「それ以上キッドに触ったら、死神様に言いつけますよ!」
「こわいねぇマカちゃん」
へらへらと笑いながらシュタインはタバコを手に取った。
「まぁ魔女については調べておいてあげるから、今日のところは解散。」
タバコを1本ぷかりとふかして、シュタインはキッドの手を取った。
「気をつけて帰りなさいね、キッド。」
まるで騎士が姫に贈るかのように、キッドの白く華奢な手の甲にちゅっと口付け解放した。
「「キッドには
       私
       オレ
         がついているんで大丈夫です!」」
マカとソウルが同時に叫び、キッドを連れ出した。
背後からはのんびりとした声で、「身体が女の子のうちに一度解剖させてね〜」等と聞こえてきた。

「お…ぉい…お前達…」
マカとソウルに両脇をがっちりと掴まれ、連行されるかのように二人のアパートへと連れられる。
「リズ…パティ〜…」
幾分情けない声に耳を傾けながら、リズとパティは3人を見送った。
「あー…キッド。後でパジャマ届けてやるから。」
「キッド君また後でね〜」
トンプソン姉妹を涙目で見送りながら、キッドは背中を押されてアパートに入った。



マカがお茶の準備をしている間、二人掛けのソファにソウルと並んで座る。
他にも座る場所があるのだが、初めて二人のアパートに遊びに来たときから何故かそこが定位置になってしまった。
ソウルも他に座るでもなく、隣に居る。
朝からショックのため相当凹んでいたのだが、
ソファに座ってマカが淹れてくれるコーヒーの香りがキッチンから漂ってくるとキッドも少し落ち着いてきた。
まずはどうやって元に戻るのか、が先決なのだろう。
魔女についてはシュタインが調べると言ってくれている。
魔女を探し出して魔法を解いてもらうことが一番簡単なのだろう。
どういった理由で変身魔法を掛けたのかは分からないが、果たしてすんなり解いてくれるのかも分からない。
うむむ、と人差し指を顎にかけ考えていると、横からソウルが話しかけてきた。
「キッド、大丈夫か?」
「…ん?…あぁ。まぁ落ち込んでいても仕方ないからな。」
問題は今後どうするか、ということだ。
正直なところ、男でも女でも死神の努めは果たせると思う。
ただ今まで男として生きてきたアイデンディディの問題で。
最悪このままでも支障はない…はずだ。
「万が一、元の姿に戻れなかったとしても、問題はないはずだ。
死神の努めも果たしていけるし、リズとパティも使いこなせる。慣れるまでの辛抱だ。」
自分に言い聞かせるかのように、空を睨んで言葉に出す。
ある意味決意表明みたいなものだった。
「…もし…もしも、戻れなかったら…」
ソウルがポツリと呟いた。
振り返ったキッドは心なしかソウルの頬が赤くなっている気がした。
「…ソウル?」
言い難そうに視線を逸らし、うーとかあーとかうなっているソウルをキッドが覗き込んだ。
「どうした?」
「いや、その…もし、元に戻れなかったら…オレが…」
そこから先がなかなか出てこないソウルに焦れたキッドが言葉を告げようとしたとき、
マカが3人分のマグカップをお盆に載せて現れた。



マカが淹れてくれたコーヒーを一口飲み、キッドはほぅっとため息をついた。
落ち着く。
出された当初はとても飲めたものではなかったが、何時の間にここまで美味く淹れられるようになったのだろう。
「うむ。美味いな。」
「本当?!キッドに喜んでもらえたなら嬉しいな」
弾んだ声のマカにキッドは微笑んだ。
その可憐な笑顔に図らずもマカとソウルの心拍数が上がる。
両手で包みこむようにして持っていたマグカップをテーブルに置き、
ごくごく自然と長い手足を組むキッド。
「とりあえずさ、シュタイン博士に任せて今日は何も考えずにぱーっとハシャごう!」
マカの提案に、キッドはそうだな、と頷いた。



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女体化続くよどこまでも。
とりあえず、書きたいことは盛り込んで行きたいこのシリーズ。
ブラックルームやマカパパの暴走、死神様とかも交えてキッドを愛でたいです。
予定では、最終的にソウキドの裏になるんだ。
ソウルが純真無垢な坊っさまを押し倒すまでに何時まで掛かるか分からないけれども。