シンメトリー



「ほらキッド、これ好きだろ?」
「なぁあれ見てみろよ。お前の好きそうな形だ。」
「あ、これも!」

死武専の教室で、今日も今日とて繰り広げられる光景。
ことの始まりは一週間ほど前だった。
年頃の男子が集まれば、なんとく女子の好みの話になり、
それぞれどんな女子がタイプか話すことになったのだ。

ブラック☆スターは胸がポイントだといっていた。
オックスは純愛だといって、熱い視線を向ける先は決まっていた。
キッドはとにかくシンメトリーが良いと言い張り、マカが好みのタイプだと公言していた。
それを聞いたソウルの何かが切れて、

「俺はキッドが好きだ!」

とある意味公開告白となった。
そして、それ以降ソウルは隠す気も無く公然とキッドを落としにかかっているのだ。

キッドの机の上には、シンメトリーな建築物が印刷されたポストカードに
シンメトリーな型抜きクッキー、
さらに窓の外から見えるいつもの風景にシンメトリーを見つけて、指差した。

当初、ソウルの言葉も冗談半分に聞いていたのだが、
流石にこういった地道(?)な作戦が続くと、キッドもソウルの本気度を信じるし、
何より少々うっとおしくなってくる。

「なぁキッド、次の休みにデートしようぜ。お前が好きそうな場所見つけた。
噴水があって、その噴水がシンメトリーで…」
「ソウル。」
「ん?どうしたキッド?」

はぁ、と溜息をついてから、机上に手を付きキッドを覗き込むソウルを見上げた。

「お前、シンメトリーなら俺が何でも食いつくと思っていないか?」
「……え…?」
「俺にも、好みというものがある。」

頬杖を付いて、すでにソウルから興味をそがれたキッドは、
手元にあった本をぺらぺらとめくった。

「シンメトリーは好きだがな。シンメトリーでなくても、愛せるぞ。」
「キッド…それって…?」

俺の都合の良いように受け取って良いのか、と続けるソウルに、
キッドはまた一つ、溜息をついた。

「お前の本気は買ってやろう。」

この言葉から3ヶ月後、ソウルの地道な努力が実ったとか、実らなかったとか。