死神姫・4


猟師・シュタインに指し示された小路を抜けて、城の外に出るとそこは鬱蒼と茂る森の中でした。

「…こんなところに通じていたのか…」

死神姫の部屋は市街地向きの部屋で、日当たりも良く、城の裏側である森の方の部屋へは出入りもあまりしなかったため、
いまいち城や周辺を理解していませんでした。
けれど、事態が切迫している今、死神姫の頭脳はものすごいスピードで情報を入手・整理していきます。

森の小路も暫く行けばなくなり、上質なシルク製のすみれ色のドレスの裾に、雑草や木々が引っかかります。

「えぇい…歩きにくいことこの上ない…」

森の暗さと心細さ、城に残してきてしまったリズとパティの事が気に掛かり、ついつい独り言を呟いてしまいます。

どれほど歩いたでしょうか。
もう方向感覚もわからず、城に戻ることすら出来ないのではないか、と思い始めたとき、急に視界が拓け、
目の前に小さな1軒の家が現れました。

「こんなところに…民家か?」

普通の民家にしては若干サイズが小さめですが、この際細かな事は気にしていられません。
森の中は薄暗く、昼か夜かも判別がつかないですが、実際夜になったらもっと暗くて怖いことでしょう。
死神姫は一晩の宿を求めて民家に近づきました。

「すまないが…今夜一晩泊めてもらえないだろうか?」

扉をノックして声を掛けますが、応えはありません。
もう一度ノックしましたが、やはり返事はありませんでした。

「留守か…困ったな…」

ふぅ、と軽い溜息をつき、扉にもたれかかったとき、その扉が開きました。
鍵が掛かっていなかったようで、死神姫の体重を受けて、勝手に開いたようです。
しかし、体重を預けていた扉が開く、という事は、死神姫は重力に従ってそのまま倒れこむ、という事で。
死神姫は派手な音を立てて、そのまま家の中に吸い込まれるようにひっくり返ってしまいました。