死神姫・2


死神姫はすくすくと成長し、その美しさも日に日に磨きが掛かるようでした。
まるでダイアモンドの原石が綺麗に、丁寧に磨かれ、カッティングされていくかのごときその成長振りに、死神様もご満悦です。
死神姫も大好きな死神さま、側近のスピリット、側用人のリズ・パティに囲まれて、日々幸せに暮らしておりました。

しかし、そんな幸せも長くは続きません。
死神姫が13歳になったある日、出張に出かけた死神様とスピリットの隙を突き、メデューサが城を乗っ取ってしまったのです。

「城を乗っ取ったは良いけど、所詮は死神が戻ってくるまでの事。死神を何とか外に足止めしないとね…」

メデューサはひとしきり思案すると、綺麗に弧を描く唇からチリチリと蛇を出しながら、カエルを踏みつけます。

「ちょっと、死神姫のところに行って彼女をひっ捕らえるか、殺してきてちょうだい。」
「ゲコっ…なんでアタシが…!」
「別に、直接手を下せ、なんて言ってないデショ?
猟師だろうがネズミだろうがオオカミだろうが、好きに使って構わないわ。」

ただし、失敗は赦さない、そう告げるメデューサに、カエルは帽子を深くかぶりなおし、その下で舌を出すのでした。

「そんなこんなで、死神姫を殺してきて欲しいの。」
「…なんで魔女が僕に…」

猟師のシュタインは面倒くさそうにタバコをふかして答えます。
猟師小屋にやって来た魔女は、金貨のたくさん入った袋を差し出すと、それで死神姫を殺して欲しいと頼んだのです。
木で出来た簡素なテーブルに足を預け、同じく木でできた椅子に腰掛け、重心を後ろ脚2本に乗せてバランスを取るシュタインに、袋を指差す魔女。

「ま、噂の死神姫を見てみたい気もするし…。引き受けよう。」
「本当っ?!」
「でも、代金は金貨じゃなくて君を解剖する、ってことで。」
「ゲっ…ゲコっ」

にたり、と笑うシュタインは、壁のフックに掛けてあったハンチング帽と猟銃を取り、魔女を残して猟師小屋を後にしました。