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誤解です その日、スピリットはご機嫌だった。 なにせ三日ぶりにマカと直に話しができて、且つ嫌がられなかったのだ。 毛嫌いされているとは薄々気づいてはいたが、 (本当に、ちょっとだけ。ノミの心臓ほどの大きさだったり、 隕石が落ちてくるくらいの確率で、嫌われているかな…とは思っていた) 嫌な顔をされずに会話ができた!これだけでスピリットの機嫌を良くするには十分で。 早く死神様に報告しなくちゃ!と喜び勇んでデスルームに向かった。 「父上…あの…」 「どったのキッドくん〜?」 扉の前に立つと、中から声が聞こえてくる。 どうやら今日はキッドが来ているようだ。 丁度いい。キッドにもこの素晴しき感動を伝えようと、ドアノブに手を掛けた時。 なんとも色っぽい声がスピリットの耳に届いた。 「あ…ダメ…だよ、父上…」 「何がダメなのキッドくん?」 どこか甘えるような声はキッドのもの。 さらに、普段おちゃらけた死神様が、結構真剣な声でキッドに問い返している。 しかも、こちらの声音も、普段からは想像できない程とても甘い。 「いつも父親らしいことできてないからさぁ。たまには、子供孝行させてよ…ね?」 「でも…父上…そんなこと…」 「そぅ?結構硬くなってるよ?キッドくんのココ。」 「やっ…ダメ…それ以上はっ…」 スピリットの脳内に、死神親子の濡れ場が想像される。 ここは、知らない振りをして立ち去るか、同じ子を持つ父親として死神様を諌めるべきか、瞬間的に迷う。 死神様の、キッド溺愛っぷりは周囲の予想をはるかに超える。 それを知っているスピリットとしては、こんな(死神様にとって)美味しい状況を邪魔しようものなら、 後でどんな目に遭うか知れない。 けれど…。 年端も行かない自分の息子に、一体どんな無体を、と思えば、同じ父親として怒りもこみ上げる。 「父上…っ…そんなに強くしたら…っ…」 「そぉ?でもキッドくん、本当はこれくらいがイイんじゃないの?」 「やぁっ…痛っ…」 キッドの、軽く悲鳴めいた声に、スピリットの体は反射的に動いていた。 「何やってんですか死神様ー!」 勢い良くドアを開けるとそこには。 イスに腰掛けるキッドと、その背後に立ち、キッドの肩を嬉しそうな顔して揉み続ける死神様の姿が。 「…と…え…?…アレッ?」 「スピリットくん…何って…キッド君を労うために、肩揉んであげてたんだけど…?」 「だから父上!俺の方が父上の肩を揉んであげたかったのに!」 頬を赤く染め、ぷくっと膨らませて、涙目で背後の死神を見るキッドは大層かわいらしい。 死神様が溺愛するのも判る。 …が… 「キッド…。君、なんちゅー色っぽい声を…」 その場に脱力するスピリットに対し、不思議そうな顔をするキッド。 そして、背後に髑髏のオーラを背負う死神様。 「スピリットくん。 久しぶりの親子水入らずの時間を邪魔してくれた理由と、 今なに考えてたか、後でゆっくり話そうね♪」 「…………はい……」 スピリットは天を仰ぎ、死神に仕える武器でありながら、胸中で十字を切った。 |