メランコリーファクト


柄にもなく、というかむしろ生まれて初めて物事に執着した。
出会いは良いものではなかったと思う。
ブラック☆スターと連れ立って、編入初日にボコりに行ったのだから。
まぁ結果から見れば逆にボコられたのだが。

圧倒的な力の差。
けれど、気さくで無頓着な態度。
そのくせ潔癖で左右対称愛好者。
どこまでも想像と期待を越えるカミサマ。

柄にもなく気になって、気づいたら好きになっていた。
鬼の霍乱か?などとマカは言うが。
そうなのかも知れない。

そんなある日。
雨が続いて鬱陶しく思っていた頃、空に晴天が覗いた。
鬱々としていた気分を吹き飛ばしたくて、なんとなく散歩に出て。
なんとなく街を見て回れば綺麗な花が目に入った。
これまた柄にもなくふらりと花屋に立ち寄って、店員に花の名を聞いてみた。
いつもなら気にも留めないような小さな花弁。
スターチス、という花らしい。
色とりどりの花弁が綺麗で、なんとなく数本花束にしてもらう。
以前、椿から聞いた花言葉を思い出して、そこに桔梗も添えてもらった。
真っ白な桔梗の花に、青と青紫のスターチス。
なかなか、彼の印象に合っているのではないか、と思った。

我ながら、何をしているんだ、とも思ったが、散歩のついでに死刑台屋敷まで足を伸ばす。
もちろん、先ほど作ってもらった小さな花束を家主に渡すため。
我ながら気障なことだとは思うが。

呼び鈴を押し、程なくして出てきた家主と一言二言交わし、手にしていた花束を渡す。
相手は驚いていたようだが、なんのかんのと理由をつけて手渡した。
花言葉を知っていればそれはそれで好都合だし、知らなければそれで良かった。
ただ、なんとなく会いたかっただけだから。

しかし、後日、相手からも花束をもらうこととなる。
真っ白な花。どちらかというと花束には向かないような。
どんな花か知らず、けれど、どこかうきうきとした気分で、以前花束を購入した花屋まで足を運んで店員に聞いた。
本当に、自分らしくない。

「それは、日々草ですね。花言葉は『生涯の友情』って言うんです。」

スターチス、桔梗の花言葉に対する答え。
先ほどまで嬉しくて弾んでいた気持ちが、急に萎えていくのを感じた。
笑顔で対応してくれる花屋の店員までもが憎らしかった。







※花言葉※
スターチス:永久不変
桔梗:変わらぬ愛
日々草:生涯の友情