だいすき


この世にはたくさんの人間がいる。
男も女も何十億人も。
そんな中で、たった一人を好きになるなんて、ものすごい確率で、しかもその相手から愛情を返してもらえるなんて。
なんて幸運。
それを考えれば宝くじに当たる確率なんて大したことない、とすら思える。

「えっと…本当…に?」

目の前の状況にめまいがする。
こくりと頷く白い顔が、心なしか赤く染まっていることすら幻に見えて。

「俺が言ってるのは、"友達"って意味じゃねーんだけど。
それでも、お前の返事は本物なのか?」
「…くどい。」

さっきから10分も同じ問答を繰り返しているためか、
ややご機嫌斜めの様子だ。
ぷいっとそっぽを向かれて、軽く溜息まで吐かれてしまった。

「疑り深いな、お前は…。
一体、どうしたら信じてもらえるんだ…」
「いや、信じてるけど…」
「"けど"?なんだ?」
「…信じられない…」

頬を抓る俺に、キッドが拗ねたように唇を尖らせる。

「やっぱり、信じてないんじゃないか、お前は。」

いや、信じたい。でもこれが夢でも構わない、と思ってしまうのは、
やはり"ありえない"と心のどこかで諦めていたせいで。

「ソウル、俺も、お前が大好きだ。」

呆けていた俺に、キッドがつと歩み寄ってきて、きゅっと抱きしめられた。
二人の距離がなくなる。
首元に感じる吐息が、これが現実なんだと思わせる。
抱き返す腕に力が篭る。

俺にとっても世界にとっても、唯一無二の存在から想いを告げられる事の、なんて幸福。