ちょっとした小咄


5月の新緑がまぶしいとある日。
ソウルとキッドは二人並んで近くの公園を散歩していた。

この日は珍しく二人予定が合った為、こうして外に出ることにした。
ソウルが観たいと言った、話題の映画も観たし内容もなかなか面白かった。
映画の後は、軽くカフェで食事を済ませて、それぞれコーヒーをテイクアウトして現在に至る。

緑の間からこぼれる太陽の光がキラキラと眩しい。
時折吹く風は、夏前の少し暖かい風で。
秋の風ほどさらりとはしていないが、不快ではない。
これからの夏を彷彿とさせる、清々しい風だった。

そんな風に気持ち良さそうに目を細めるソウル。
並んで歩きながら、キッドは、これではまるでデートだ、と苦笑する。

何時頃からだったか、女子組みを通じて交流が始まり、気づけばソウルと二人で行動することも多くなった。
ブラック☆スターも含め三人で動く事もあるにはあるが、如何せん、彼はスタンドプレーが多い。
三人で集まっても、結局はソウルとキッドの二人が残る、という図式が出来上がり、
それなら、と始めから二人で会うことが多くなった。
今日も、ソウルから観たい映画に付き合ってくれと連絡をもらって外に出た次第だ。

「俺、車の免許でも取ろうかなぁ」
「車?」

二人で歩きながら、ソウルが呟いた。
問い返したキッドにソウルは続けた。

「遠出、できるだろ」
「バイクやベルゼブブがあるではないか。」
「ベルゼブブは勘弁。武器化しなきゃならねーじゃん」
「むぅ…。バイクではダメなのか?」

良いんだけど…と少し言葉を選ぶ素振りのソウルに、キッドは首をかしげる。

「車だと、隣で同じ景色を見られるし。こうして並んで歩くみたいに。」

手を取られ、指を絡めるように握りこまれれば、流石にキッドも頬を染める。
沈黙したキッドを見つめ、正しく意図が伝わったか?とソウルが微笑む。

「それに、車なら車中でキッドを脱がせられるし、いろいろでき…っむがっ!!」
「それ以上は言わんで良いっ!!」

片手はソウルに繋がれているから、自然、珈琲の紙カップを持っているほうの手で、キッドはソウルの口を塞いだ。
真っ赤な顔のキッドに意地悪く笑うソウル。
路面には、珈琲の水溜り。