最終話


「大丈夫か?ソウル」
歩み寄ってくる黒い影。
自分だってボロボロのくせに、とソウルは思う。
こんな時でも仲間が最優先。
少しは自分の事も心配しろよと言いたいところだが、今はそんな余裕がない。
「あぁ…」
一言だけ、何とか返した。
すぐ側には彼の武器もブラック☆スター組も居る。
本当なら今すぐにでも抱きしめて、本当に大丈夫かどうか確認したいくらいだ。

鬼神・阿修羅を倒した喜びで一杯のトンプソン姉妹とブラック☆スター組の言葉にも慎重に返事を返すキッド。
確かに今回は何とかなったが、また次に同じような事が起これば、大打撃を受けるだろうことはソウルにも予想がついた。
できれば、キッドにも安堵の時間を与えてやりたいと思うのは、ソウルの思い上がりだろうか。
恐れ多くも(?)次代の死神様に、
『心配するな』とは気安く声を掛けることができない。
そういう点はもどかしいと思う。
早くデスサイズになって、キッドを心から安心させられるように、頼られる存在になりたいと思うのだ。

「大丈夫だよ。アタシたちがいるから!」

マカの言葉にキッドが反応し、
瓦礫の上に立つ彼女をまぶしそうに見つめる。
そしてマカの言葉と彼女の凛とした姿を見て、キッドに柔らかな安堵の表情が浮かんだ。
彼の唇が、「そうだな」と動くのを、ソウルは見逃さなかった。

嗚呼。マカのように、言葉だけでキッドを安心させられるようになれたら…。
安心させられるだけの、力と実績が欲しい。
マカを見つめるキッドを下から見上げながら、ソウルはそう願わずにいられない。

瓦礫の上からマカが飛び降りる。
それを軽々と抱きとめるキッド。
(クソ…俺なんかとよりずっと絵になってるじゃねーかよ…)
そんな光景を見せつけられると泣きそうになる。
無様に地面に座り込み、立ち上がることも出来ない自分。

抱きとめられたマカが、キッドと一言二言交わしてソウルの元までやって来た。
「キッド君を安心させてあげられるように、明日からまた頑張ろう!」
マカの言葉に一瞬目を見開いて、ソウルは苦笑いをこぼした。
「…お前には一生敵わねーかも…」
「キッド君をそう簡単に譲るつもりはないもの、アタシ♪」

笑顔のマカ。
マカの言葉にソウルも頷き、どちらからともなく視線を合わせた。
見つめる先は小さな死神。
その黄金の双眸が柔らかく微笑むようにと切に願う。