弁当


「キッド、ついてるぞ。弁当。」
「ん?」
食堂で仲間と一緒に昼食を摂っていると、隣に座っていたソウルがキッドの頬に指を伸ばした。
どうやら口元に米粒でもついていたようだ。
「…っとに、お前は変なところで子供だよなー。」
くすり、と笑うソウルの顔にキッドは顔を真っ赤にして頬を膨らませた。
表情もむぅっとお怒り気味だ。
「"弁当"が口元につくわけなかろう!
言うのならば、"ごはん"とか"こめつぶ"とか"肉片"とか、的確な表現をせんか!馬鹿者め!」
軽くソウルをにらみつけた後、ぷいっとそっぽを向くキッドに、ソウルは大仰に驚いて見せた。
「うーわー、お前、"ありがとう"とか言う前にそういう事言うか?
死神様からどういう教育受けてるんだよ。」
「ソウル!父上を愚弄するとゆるさんぞ!」
食卓に頬杖をついて、呆れたような溜息をつきながら、
ソウルがやれやれといったように呟くその態度が、さらにキッドを怒らせるのだろう。
いつものキッドらしくなく、左手にフォークを握り締めたまま、ぷりぷりと怒りはじめてしまった。
そんな二人に、マカが呆れたように言い放つ。
「あんたたち、いちゃつくなら他所でやんなさいよ。」

『イチャついてなんかない!』

マカの言葉に、顔を真っ赤にしながら、ガタン、と二人同時に席から立ち上がり
食堂中に響く見事にハモったソウルとキッドの声。

「やっぱりイチャついてんじゃない。」
フォークにパスタを巻きながら、マカが溜息つきつつ、呟いた。
「キッド君イチャイチャ〜」
「ちがうよパティ、こういうときはラブラブって言うんだ。」
「あ、そか。おねーちゃんあったまいー」
「いちゃいちゃだろうがラブラブだろうがどーでもいーが、
俺様より目立つのは許せねぇ」
「ブラック☆スター、この二人の目立ち方だけはマネしないでね。」

三者三様…否、五者五様のコメントに、
ソウルとキッドは顔を見合わせ大人しく椅子に腰を落とした。