分かたれた君へ


君は、以前"わたし"の一部だった。
わたしも、以前は"君"の一部だった。
二人で一人。
一人で二人。
それが"死神"という象徴<シンボル>の定義。

元来一人の"死神"
時の流れと共に力が衰える頃、自らを更新するために、もう一つの"死神の核"を作る。
その"核"は成長してゆき、やがて"死神"の力がやつれ、衰える前に"核"が"死神"を吸収して新たな"死神"に更新される。

死神という中の更新システム。
その処理が今、進んでいる。

ザ・ライン・オブ・サンズが全て繋がった"新たな核"キッド。

君が見てきた世界は美しかったかい?
もうすぐ"わたし"が"君"に吸収される。
わたしを吸収し、分離されていた"わたし"の記憶が"君"に移行され、"君"は"死神"になる。

微笑む"君"
怒る"君"
悲しむ"君"
楽しそうな"君"

それは全て"わたし"。
わたしであって、"わたし"でないもの。
この"死神"というシステムの中で、"君"が育ってゆく事は、唯一"わたし"が好むもの。

だから、どうか泣かないで、分かたれた"君"よ。
もうすぐ。もうすぐ、また一つに戻るから。

「父上…死なないでください…」
「死なないよ、キッド君。また、一つに戻るだけだから。」

指し伸ばす指。
触れる、涙で濡れた頬。

君が見てきた世界は、何色だった?
君の記憶を共有させて。
そして、"わたし"の記憶を受け取って。

かつて、"わたし"が『父上』と呼んだ"君"。
今度は、"君"が"わたし"を『キッド』と呼ぶ番だよ。

「じゃあ、キッド君。また、何百年後かに、ね。」

そうして"わたし"は"君"に移行される。
死を司る神でも、このシステムからは解放されない。