ピンク色の


じわじわと蒸し暑い日々。
湿度も高くて、正直なところ過ごしにくい。
エアコンも入れるのだが、窓からさんさんと降り注ぐ陽射しに、どうにもパワー不足で。
暑さ故か食欲も減退気味。
それならば、といつものメンバーで流しそうめん大会をする事になった。

ブラック☆スターと椿がどこからか竹を持て来て、見事に両断する。
節の部分はソウルが綺麗にそぎ落とし、マカとリズ、パティはそうめんを湯がきに掛かる。

初めての『そうめん』にキッドはわくわくしながら、そわそわと落ち着き無くキッチンでわさびを摩り下ろす。
わさび自体初めてで、綺麗な緑色に思わず舐めてみたくなる。
しかしながら、その育ちのせいか、つまみ食いはしないキッド。
相手がわさびなだけに、この行動は正解だったようだ。

面倒なので、めんつゆは近所のスーパーで入手して。
人数分の硝子の小鉢にめんつゆと氷を落とす。
それだけで目にも涼が取れて、茹だるような暑さからちょっとだけ解放された気分だ。

竹がセッティングされ、そうめんも茹で上がった。
さぁそれでは、と椿がそうめんを流し始める。
なにやらブラック☆スターが一人五月蝿く騒いでいるが、ほかの面々は気にせず、流れてくるそうめんを思い思いに掬った。

先ほどキッチンで湯がかれていた時から目をつけていた、
ピンク色のそうめんが流れてくる。
キッドは目を輝かせながら、そのピンク色が混じったそうめんのかたまりを掬った。

「おぉ!ピンク色の麺を掬ったぞ!」
「…色がついてるだけで、味はかわんねーって…」

喜色満面のキッドに、ソウルは冷静なツッコミを入れた。

「戯け。ピンク色の麺は見たところ、3束に1本しか入ってないんだぞ。希少価値は高いではないかっ!」
「緑はいいのかよ?」

ソウルは自分の器に入っている緑色の麺をキッドにかざす。

「…うっ…お…俺は、ピンクが良いんだ。」

緑にも、とても心惹かれるが。
ピンク色の麺も捨てがたい。
希少価値(?)が高く、みんなで流しそうめんをしているだけに、どちらも食べる、という気にはなれず。

そんなキッドを見越して、ソウルはふっと微笑うと、緑色のめんと普通の麺を一口分持ち上げて、キッドの口元へ運んだ。

「ほら。緑のやるよ。」
「……いいのか?」
「滑るから、早く食べろよ。」
「…うむ…では、いただこう。」

いわゆる、『あーん』という状態で、キッドへ食べさせるソウル。

「おまえら、もう場所とか周りとか、どうでも良いんだな…」

当の本人達はもとより、
そんな二人の状態を誰も気にしないし、突っ込まない。
リズは一人、溜息と共に呟いた。