勝負の行方・2


死武専に編入した日、ソウルとブラック☆スターに勝負を挑まれて買ってやった。
俺の圧勝、と言い切りたいが、前髪を切られて共倒れだった。くそっ!前髪さえ切られなければ…。
まぁあの二人ごときに前髪を切られる、という事は、俺もまだまだ修行が足りないんだろうな。

そんな訳で、ようやくつい最近、死武専の授業を受けるようになった。
父上の学校はやはり素晴しい。いろんな場所を見て回った。
さて次はどこを見ようか、と思ったとき、小腹も減ったので、食堂に足を運んでみた。
すると丁度そこにはソウルが。

どうもソウルには避けられている、というか話かけ辛い雰囲気だったから、俺から声を掛けることにした。
ソウルの手元には普段見かけない黄色のジュース。
普段コーヒーを好んでいる、と記憶していたが珍しい。
そう思った。だから、そのまま口にしていた。

「珍しいな」
「んぁ?」

ソウルがきょとんとしている。
…しまった。俺としたことが、"何が"珍しいのか省いてしまったな。
後付だが、補足しておこう。
俺も何か食べようと思っていたし、ソウルの隣に座る。

「いつも、コーヒーを飲んでいるだろう?
コーヒー以外を飲んでいるところ、見るのは珍しいな、と思ってな。」
「まぁ、たまには。」

…もしかして、俺はソウルに嫌われているのか?
かなり素っ気無くないか?
ケンカを買ったのが悪かったのか?
それとも、俺が死神の息子なのに職人と武器の学校に通う、という事がそもそも気に入らないのか…。
初対面のときも『親の七光り』とか言われたしな。

そんな考え事をしていると、ソウルがまた黙る。

「マンゴージュース?」

その黄色の液体の正体が知りたくて、話題も見つからないので聞いてみた。
オレンジジュースにしては黄色が濃い気がするからだ。
最近、巷で流行っている、とリズとパティも言っていたし、あの二人もつい昨日飲んでいた。

「飲んだことねーの?」

言いながら、ジュースを差し出してくれた。
…もしかして、ソウルはもともとこういう素っ気無い性格なのだろうか。
もし俺が嫌われているのなら、ジュースを差し出したりはしないだろう。
俺は素直に受け取って、ストローからマンゴージュースを飲んだ。
なんだかソウルの視線が突き刺さるように痛いが…。
もしかして、本当は飲んではいけなかったのだろうか?
勧められても断るのが一般常識だったのだろうか?
俺はビクビクしながら、ソウルにジュースを返した。

「…甘い…。でも、美味しいな。」

本当は、嘘だ。味なんて分からなかった。
ソウルの視線が痛すぎて…味覚という信号が脳まで到達したかどうかも分からない。
本当にマンゴージュースだったかどうかも怪しい。

俺は何か、ソウルの気を触ることをしたのだろうか?
本当に心当たりもないし、どう対応して良いか分からない。

とりあえず、ごまかすために笑ってみた。
多少笑顔が引きつっていたような、ぎこちなかったような気がするが…。
すると、こちらを凝視していたソウルが、突然抱きついてきた。

「ぅわっ?!急にどうした、ソウル?!」
「…うるせぇ…ちょっと…ゴミが…背中に…」
「背中にっ?!」

どうやら、俺の背中にはゴミがついていたらしい。
それを取ってくれている…のだろうが、ぎゅうぎゅうと締められてちょっと苦しい…。

じっと凝視されていたと思ったが、まさか俺の背中まで見ていたとは。
もしや、ソウルには透視能力があるのか?!

侮りがたし、ソウル=イーター!
やはり俺も修行が足りないな。死神が武器に負ける訳にはいかない。父上にも顔向けできないからな。

…それにしても、ソウルはゴミ一つ取るのに、一体どれだけ時間がかかっているんだ?
ここは食堂。何時までも離れないソウルに、周囲の視線が痛くなってきたのだが…。
目一杯締められて痛いし、苦しいし、一体俺はソウルにどう思われているんだ?

ブラック☆スターとは、それなりに仲良くできていると思っているのだが。
正直、ソウル=イーターという男が分からない。