たこ焼き


「ほら、ソウル。」

ソウルは目の前に差し出された、香ばしい匂いの丸い物体を見つめて口を開こうかどうしようか、迷った。
最近、キッドはこの見た目にシンメトリー…むしろ、丸い球体である『たこ焼き』がお気に入りだ。

山のように買ってきては、たこ焼きの上で踊るかつお節に喜び、ソースと青海苔、辛子マヨネーズ(普通のマヨネーズより、辛子入りの方がキッドの好みらしい)のハーモニーを楽しむ、と言った具合だ。

シンメトリーだと喜ぶのは良い。
かつお節にはしゃぐのも見ていて可愛い。

けれど。
毎度山のように購入するのはいただけない。
胃袋が小さいのか少食なのか、すぐに満腹になってしまうようで、半分も食べないうちにソウルの口元に運ぶのだ。

この、いわゆる『あーん♪』状態が嫌なわけではない。
けれどアツアツのたこ焼きを、3回フーフーしただけで口元に運ばれるこの恐怖感といったら。

キッドが冷ましてくれるのは嬉しい。
が、圧倒的に中身はまだ熱いのだ。
外はカリッと香ばしく、中は絶妙なとろみを残し、大振りのたこが入ったこのたこ焼きは、間違いなく絶品なのだが、
この中のとろりとした、溶岩のような熱さを誇る中身!
今まで何度口の中を火傷したか知れない。

「どうしたソウル?あーん、しないのか?」

こちらの葛藤などお構いナシに、キッドは蟲惑的なまなざしで小首をかしげてソウルに問う。
キッドが、いかに自分の姿がソウルを魅了するのか、無自覚なのが更に悔しい。

もう一度、キッドはふーっとたこ焼きに吐息を吹きかけ、ソウルに差し出した。

「ほら、喰え。」

満開の笑顔と、期待に満ちた表情。
ソウルは半ばやけくそに口を開いた。

結局惚れた方が、負けなのだ。