ハロー!キティ


「どうした、キッド?甘えてんのか?」

普段、クールな彼からは到底聞けそうもない、甘い声。
愛しそうに呟いて、対面の相手に指を伸ばす。
伸ばした指で、ゆるく、顎を撫でると、気持ち良さそうに瞳を細めるキッド。

「んな、慌てんなよ。ゆっくり舐めれば良いから。
そう、良い子だな。上手いぞ。」

ソウルはキッドの頭を撫でた。
やや上目遣いにソウルを見やるキッド。

「マジ、クるな、その顔。」

呟いて、キッドの耳裏を撫でれば、キッドはビクリと反応を返して舐める行為を止めてしまった。

「もういいのか?好きだろ、ミルク」

ぷいっとそっぽを向いて、部屋から出て行こうとするキッドに、ソウルは慌てる。

「おい!キッド…」
「ソウル、貴様…」

ん?とソウルは隣に座るキッドを見る。

「どうした、キッド?」
「…猫に、俺の名をつけるとはどういう了見だ。」

眉間に深く皺を刻み、キッドはソウルを睨みつけた。

「だって、お前に似てるだろ?黒くて、しなやかな体のラインとか、甘えてくるかと思えば急に態度を変えるところとか。」
「…だとしても、人の名を動物につけるのは止めろ。
あと、卑猥な言い方をするのも、止めろ。」

顔を朱に染めて、キッドは近寄ってきた黒猫を抱き上げた。
指先を舐めてくる姿は確かに可愛いとは思うが。

「へぇ…卑猥な言い方って…例えば?」

意地悪く口角を上げるソウルに、キッドは肘鉄を食らわせた。

雨の日にたまたま見つけた黒猫。
里親が決まるまでソウルが面倒を見ていたのだが。
後日、正式に黒猫の飼い主が決まり、黒猫『キッド』は愛らしい女の子に連れられて行った。

「猫のキッドより、やっぱり死神のキッドの方が断然良いな。」

ソウルの言葉に、キッドは嘆息し、一体なんの比較だ、とソウルの頬をねじり上げた。