彼女の秘密・2


「ソウル、お前もキッドの秘密を知った一人なら、あたしら姉妹と運命を共にしてもらうよ」
「…なんだよ、ソレ。」

ランチタイムの後、リズに急に呼び出されたかと思えば、管理者不在の保健室で唐突に告げられた。
リズの背後には紙袋を持ってうずうずしているパティが立っている。

それにしても、この姉妹は実にスタイルが良い。
すらりと伸びた手足、綺麗なブロンド、女性らしい曲線的なライン。
同じ女であるはずのキッドからはカケラも感じられない『女性らしさ』が溢れている気がする。

ソウル自身、『女性らしさ』などどちらでも良いし、キッドが男でも問題は無いが、性別を偽ってまで"死神"として生きるのは、少々窮屈ではないか、と思うのだ。

例えば、きっちり着込んだ黒のスーツも、細身のキッドに似合っているが、ふんわりした感じの服装も十分に似合うと思う。
さらに、さらさらの髪の毛も伸ばせば、きっと美人度に拍車がかかるはずだ。
性別に拘る理由は、キッド曰く"威厳"の問題らしいが、彼…もとい、彼女ならば性別など関係なく付いてくる物ではないか、と思うのだが。

「ソウル、聞いてるか?」
「…あ…っと…ワリィ。なんだっけ?」
「人の話はちゃんと聞けよな。」

リズの言葉を上の空で聴いていたソウルは、改めて姉妹に向き直った。
幾分、姉妹の方が背が高いため、ずいっと覗き込まれると少々圧倒される。

「お前も、キッドが女だって知った手前、見過ごせないだろ?」
「…何が…」
「この成長期に!キッドはサラシまいてるだけなんだぞっ?!」
「…サラシ…?」
「胸は押し潰されるわ、形は崩れるわ、挙句成長しきらなかったらどうすんだ!」

拳を握りしめ、力説するリズ。そして背後には紙袋から可愛らしいブラを取り出すパティ。

「キッドが…サラシ…」
「問題だと思うだろ、ソウル!!」
「このままだと、キッドくんのおっぱいが大変な事に!!」

姉妹の言葉に、ソウルは激しく賛同した。
この大事な時期にサラシを巻くだけとは言語道断だ。

「それは女体に対する冒涜だ!」

瞳の色を変えたソウルに、今度は姉妹が気圧された。

「えっと…まぁ…そう、な。」
「俺は今からキッドに掛け合ってくるぜ!
つーか絶対明日からサラシ禁止だ!!」

燃えるソウルに、逆に冷静になる姉妹。
リズは胸中、相手を間違えたかも知れない、とキッドの身を案じ、十字を切った。