死神のキス


ふと己に掛かる影に気づいて顔を上げると、間近にソウルの顔があった。

(あぁ、キスをされるんだな)

と思って間もなく、それは予測ではなく現実のものとなる。

ゆっくりと触れて、唇の柔らかさを確認するように食まれ、そして触れたときと同じくゆっくり離れていく。
それを名残惜しい、と思わないでもないが。

キッドはゆっくりと閉じずに居た瞳を、目の前のソウルの視線に絡めた。

「お前、スキありすぎ。」

苦笑するようなソウルの呟きに、キッドも笑った。

「ソウル、軽々しく俺にキスするな。」
「なんで。」

頬を指で撫でられて、その気持ちよさにキッドは眼を閉じた。

「キライじゃないだろ?」

ソウルに問われて頷くが、問題はそこじゃない。

「いや、俺の好き嫌いの問題ではなく、な。
お前の生気の問題だぞ。」
「…?どういう意味だよ?」

撫でていたソウルの指が止まり、キッドはゆっくり瞼を上げた。

「死神のキスは、生者の生気を奪う。知らなかったか?」
「えっ?!初耳!」

心底驚いたソウルに、キッドは苦笑した。

「なに、じゃあ俺いったいどれだけお前に生気吸われてんの?」
「そんな事、俺が知るか。」

そもそも、キッドからキスを強請ったことも、したこともない。
生気を吸うと分かっていたから。
ソウルは慌てて指を折るが、2往復した辺りで諦めたらしい。

「ま、いっか。生気くらい。こうしてお前に触れて、キスできるなら。」

言いながら、再びソウルはキッドの唇に触れた。