ワルツ


姉妹とラインダンスを踊っていたキッドをワルツに誘うマカ。
気安くキッドに声を掛け、あまつさえ、ダンスホールにまで引っ張り出してしまうマカもさることながら、
ワルツのステップを完璧に踏むキッドにもいささか腹が立つ。

バルコニーで子供向けの炭酸飲料の入ったグラスを傾けながら、ソウルの機嫌はだんだん悪くなっていった。
白いドレスのマカと、白いスーツのキッド。
ダンスフロアの真ん中で優雅に踊る姿を見て、周囲が場所をあけ始める。
踊っていた他のカップルも踊るのを止めて、二人に見入っていた。
まるで二人の独壇場。結婚披露宴か何かのようだ。

楽しそうなキッド。
その姿を見て嫉妬する、ソウル。
笑顔のマカがソウルに視線を投げてきた。
不敵に笑うマカの宣戦布告を受けて、ソウルはグラスをバルコニーの縁に置いた。

そして、ツカツカと二人に向かって歩を進め、くるりと回ったマカの手を引っ張って、キッドの手を奪う。

「わりぃな、マカ。これ以上は見てらんねー。」
「男の嫉妬は醜いよ、ソウル。」
「おい…二人とも…」

険悪なムードを発散する二人にキッドが間に入ろうとしたが、ソウルによってそれは失敗に終わった。

奪ったキッドの手を強引に引き寄せて、がっちりとホールドする。
マカをその場に置き去りに、キッドの腰をぐっと抱いてステップを踏み始めた。

「…おいソウル、何故俺が女性パートなんだ。」
「お前の方が背、低いだろ。」

ぐっとキッドの体を逸らすようにリードし、キッドから零れそうな不平をやり込める。

マカとキッドのワルツは優雅に、ソウルとキッドのワルツは躍動的で、見る方はどちらにも歓声を上げた。