お昼寝


「それじゃ、明日の放課後はみんなで集まってお花見って事でいいかな?」
「お花見ー♪はじめてだぞこのやろー!」
「食べ物や飲み物はみんなで持ち寄るんだよな?」
「俺様はスターだからな!一番良い場所を見つけてやる!」
「あ、じゃあ私はチラシ寿司を作っていきますね。」

春になり、桜が見ごろになったある日。
いつものメンバーでお花見をする事になった。
発案者はマカ。
みんなノリノリで会話に参加しているが、そんな中キッドだけがむぅっと口を尖らせて眉間にシワを寄せている。

「どうしたのキッドくん?お花見楽しみにしてたのに…なんだか機嫌悪そう?」
マカに機嫌を伺うように問われ、キッドは「いや」と首を振る。
リズやパティもキッドを覗き込む。
今日は落ち込むようなことも、凹むようなこともなかったはずだ。
どうしたキッド?と聞いてもキッドは答えるでもなく、ただただ口を尖らせるばかり。
眉間のしわも深くなる。
椿はハラハラとキッドを見つめた。

「寝てていいぞキッド。肩貸してやるから。」
「…ん…授業の8分前に起こせ…」
ソウルの言葉にキッドはこくり、と頷いて、肩ではなくソウルの膝にぽてり、と横になる。
「おいコラ、肩って言ってんのに…」
やれやれと溜息をつきつつも、ソウルは組んでいた足を伸ばしてキッドの枕に徹する。

「…もしかしてキッド君…機嫌が悪いわけじゃなくて、ただ眠たかっただけ?」
マカの言葉にソウルが頷く。
「つーか、眠そうな顔してただろ?」
ソウルの言葉にマカをはじめブラック☆スター、椿、リズやパティまでもが呆然とした表情をした。
そんな事が分かるのは、世界広しと言えど、死神様かソウルくらいなものだろう。

「おおかた、本でも読んでて夜遅くなったんじゃねーの?
きっちりかっちり12時に寝ないとダメだ!とか言いながら熱中し始めるとそんなのカンケーねーからな、コイツ。」

膝の上であどけない表情で眠るキッド。
その柔らかい黒髪を撫でながらソウルはマカに話を促した。

「お前はおかず作るだろ?俺はキッドと飲み物調達するから。」
「…えぇ…そうね…」
「お前ら姉妹は敷物でも探してこいよ。
こいつんちならみんなが座れそうな敷物くらいあんだろ?」
「あぁ…まぁそれは…キッドと話をするけど…」

それで話は終了、といわんばかりにソウルはキッドに視線を向ける。
無防備に眠るキッドはしばしの間、仲間の心を癒すのに一役買ったとか買わないとか。