ジャンクフード


課外授業明け。
マカは保健室でしばらく療養と通達されて、一人戻ったアパートで。
体は空腹を訴えているが、一人分を深夜に近い時間帯から作るのも面倒で、
ソウルは戸棚の非常食、いわゆるカップラーメンを取り出して湯を沸かし始めた。

空腹と同時に疲労も訴えている体は、ソファに横たえると泥のように沈んでいく。
湯が沸くわずかな間も、ソウルの意識は眠りへと落ちていった。

「…ぅる…」
「……ん…?」
「…ソウル…起きんか!」
「……え?…キッド…?どうして…?」

肩を揺さぶられて、ソウルは目を覚ました。
「俺…寝てたのか…」
「寝てたのか、ではないだろう。
コンロにやかんをかけたまま…火事になったらどうするつもりだ?」
呆れたキッドの表情。
なんでここに、というソウルの質問に、丁寧に答えてやった。
「マカから本を取って来るように頼まれてな。
チャイムを鳴らしてもお前は出ないし、やかんは鳴っているし、玄関の鍵は掛かってなかったので、上がらせてもらった。」
「そか…悪かったな。」
ソファから置き上がって、伸びをすると少しだけ疲れが取れたような気がする。
「…カップめん…」
「は?」
「これを、食べるのか?」
テーブルの上、かやくや粉末スープの空袋に指を伸ばして、キッドは興味津々だ。
「あぁ、一人分作るのも面倒だし。」
頭をがりがり掻きながら、ソウルは立ち上がって湯を注ぎに行く。
「…ジャンクフードは味付けが濃くて、食べすぎると塩分過多や味覚障害を起こすぞ。」
「一食、二食じゃかわんねーよ。」
湯を注いだカップ麺を持って戻ると、キッドの表情がご機嫌斜めだ。
「依存症になってからでは遅い。」
「…お前と一緒だな。」
言葉の内容が分からないのか、床に座り込み、キッドはソウルを見上げた。
テーブルにカップ麺を置いて、ソファに座る。
キッドの頭をなでながら、ソウルは続けた。
「食べ過ぎると、依存症になるんだろ?俺、もうお前なしじゃいられないからな。」
「…っ…!気障なことを…。
俺をジャンクフードと一緒にするな…。」
せめて健康食品にしてくれ、と呟き、ソウルに引き寄せられるまま、キッドは体を預けた。
頭に、額に、頬に、ソウルからのキスを受けながら、キッドはテーブルの上のカップ麺を指差した。
「…のびるぞ…」
「ジャンクフードは良くないんだろ?それに、食欲より、色欲の方が勝ってきたみてー。」

にやり、と笑うソウルに、キッドは呆れた溜息をこぼした。

「かなりハードな課外授業だと聞いていたのに。元気が有り余っているようだな、お前は。」

結局、カップめんは伸びてしまい、その代わりにソウルはキッドを堪能した。