キスをねだる。





「少し、髪伸びた?」
「…ん?そうか?」
「あぁ。んな気がする。前はもう少し目が見えてた。」
「…じゃあ…、少し切るかな。」
「そうした方がいいぜ。目が悪くなる。」
「…あぁ…」
「なぁ。」
「……どうした?」
「それ、面白い?」
「…あぁ。」

本を読みながら、ソウルの言葉も話半分にキッドの視線は活字を追うことを止めない。

「俺の話聞いてる?」
「…あぁ。」
「じゃあ、もっと俺にかまって」

座るキッドの膝にごろりと横になって、本の上に頭を乗せてしまうソウル。

「…ソウル…」
困ったようなキッドの表情と声。
ソウルはこの顔がたまらなく好きだ。
誰にも見せる事がない、キッドが本当に見せる素の表情の一つ。
ベッドの上で見せる嬌態も、快楽に溺れる表情も好きだが、日の元でしか見られないこの表情も良い。
「本が読めないだろう?」
「別に今読まなくても良いだろ?もっと俺を見ろよ。」
ソウルの言葉にやれやれと微苦笑をもらし、キッドは気にすることなくソウルをブックスタンドの替わりにしてしまう。
「今良いところなんだ。あと10分待ってくれ。」
「キッド…お前何気にひでーな」

ブックスタンドにされるわ10分も本を優先されるわでソウルは面白くない。
再び本の世界に没頭してしまっているキッドに仕方ねーなと溜息をついて、そんなキッドを少しからかいたくなった。

「なぁキッド」
「…ん?」
「今日は良い天気だな。」
「…あぁ。」
「散歩でもしたくねぇ?」
「……あぁ。」
「じゃ、後で出かけよーぜ。」
「………あぁ。」
「その前に、キスしてくれよな。お前から。」
「それは、断る。」

てっきり、適当に"あぁ"とか"うん"と返されると思っていたのに、 思いがけなくしっかりとしたキッドの返答に、ソウルはゆっくりと眼前の本を退けた。
本を退けると、そこには柔らかく微笑むキッドの顔が。

「まったく、仕方のないヤツだな、おまえは。」
10分も待てんのか、と呟き、キッドはソウルの跳ねる銀髪に指を差し入れた。
ゆっくりと近づいて、一度吐息が触れそうなほどの距離で止まってからキッドはソウルの頬を軽く抓った。
じっと行動を見つめてくるソウルの紅い瞳がどうした?と問うてくる。
「目を閉じるのが、マナーなんだろう?」
微笑むキッドにソウルの鼓動が止まらない。
「…おぅ…」
ソウルは言われるまま瞳を閉じた。
その行動に満足したのか、キッドは自らのそれでゆっくりとソウルの唇に触れ、食むようにキスを繰り返した。
ただ、ソウルが舌を絡めようとキッドの咥内に舌を伸ばした時、逃れるようにキッドはソウルから離れた。
「キッド…散々焦らしてまだ逃げんのかよ?」
不満たっぷりに、離れてゆくキッドの衿を掴めば、キッドは笑って答えた。

「続きは、キリの良いところまで本を読んで、散歩に出かけた後でな。」
「なんだ…ちゃんと聞いてんだな…」

じゃあ、さっさと出かけよう、と今度こそソウルはキッドの読書時間を邪魔することはなかった。







最近陽射しがあたたなくなって、本とか読んでるとねむたーくなってきますよねぇ。

たまには甘えるソウル。そして許容する(?)キッドたん。
ただ膝枕状態にちぅって結構体勢が厳しいので、キッドたんは体が柔らかいということで。
あんなエロい(違)死神体術使うくらいですから、きっと柔らかいに違いないよ!