|
「父上…実は、ご報告があるんです。」 「どったのキッドくん〜。急に改まっちゃって♪」 もじもじと頬を染めて言いにくそうにもごもごしている姿も可愛いね、などと 軽口言えるのもあとわずかの間だとは知らずに。 死神は久しぶりに訪ねてきた可愛い可愛いわが息子を抱きしめようと、 両腕を大きく開いてキッドを呼び寄せた。 「実は…俺、ソウルと婚約したんです」 エイプリルフール その日、死武専が揺れた。 震度5〜6はあろうかという強烈な揺れ。 生徒の全員が激しく動揺する中、校舎の鏡という鏡から死神様が現れちょっとした恐慌状態に陥った。 しかも大量に現れた死神様は、いつもの愉快なお面をした死神様ではなく、 800年前のイカツい死神様だったから生徒の恐怖度は跳ね上がった。 『…どーこーだー…』 おどろおどろしい声と顔で、校内を徘徊する死神様ズ。 授業中にも関わらず教室のドアを壊さんばかりの勢いで開けまくり、 中を一瞥してから目的の物が見つからないとそのまま姿を消す。 神出鬼没な死神様に、シュタイン博士もマリーも、授業そっちのけで慌ててデスルームに駆けつけた。 「ちょっとスピリット!どういう事なの?!」 デスルームに入るなりおろおろと鏡を見つめるスピリットに詰め寄るマリー。 「学校中にイカツイ死神様が大量に発生してるから、生徒達が怖がってるけど… 先輩なにしたんですか?」 同じくスピリットに問いただすシュタイン。 「俺じゃない!俺じゃなくて…キッドが…」 「子供のせいにするんじゃないの!」 マリーに一刀両断されたが、スピリットは鏡の前に蹲るキッドの肩をそっと抱いてゆっくりと立たせた。 振り向いたキッドの目には涙が…。 「キッド君…一体どうしたの?」 キッドのただならぬ状態に慌てて歩み寄り、マリーはスピリットを押しのけてキッドを抱きしめた。 「うっ…うっ…俺…父上が…っ」 「ゆっくりで良いのよキッド君。ゆっくりで良いから、落ち着いて説明して?」 優しく問われ、キッドは涙を拭いてマリーを見上げた。 「今日は、エイプリルフールで…ユーモアの日だと…聞いたから…俺、父上を驚かせようとしたら…」 おろおろとそれでも何とか言葉を告げようと頑張っているキッドの話をまとめるとこうだ。 キッドはどうやらクラスメイトから(おそらくマカや椿、トンプソン姉妹だと思われる。) 4月1日はユーモアの日で、嘘や冗談を言って相手を楽しませるイベントの日と聞いたらしい。 それなら、と最近疲れ気味の父・死神の気を少しでも紛らわそうとして一生懸命考えたユーモアを述べたらしい。 「…キッド君…それは、死神様には禁句だったかも…」 流石のマリーもキッドからの話を聞いて、天を仰いだ。 「マリー先生…」 このマリーの言葉に、キッドの止まっていた涙が再び溢れ出した。 「うぅ〜…っまさか、父上がこんなに…こんなに怒るなんて… 父上に嘘ついたから、だからこんなに怒ってるんだ…俺はダメなゴミ神だ…。 だから父上の逆鱗に触れてこんなことに…」 めそめそと泣き始めたキッドをなだめ、マリーは慌ててフォローする。 「あぁっごめんなさいキッド君。違うの。あのね、死神様が怒ってるのはキッド君が嘘ついたからじゃないの。 なんていったら言いのかしら…娘を嫁に出す親心?」 今では逆におろおろとし始めたマリーに代わって、シュタインがキッドの視線に合わせて覗き込んだ。 「大丈夫。今日がエイプリルフールだと言えば、死神様はいつも通りのおちゃらけた方に戻りますよ。」 「…そうだろうか…」 涙を拭いて、見上げるキッドの頭を大人の大きな手のひらが撫でた。 「えぇ。大丈夫。」 いつもへらへらと笑うシュタインが本当に微笑むことは少ない。 その姿を見て、キッドはようやく安堵の溜息をついた。 その数刻後、半殺しの目に遭ったソウルが、イカツい死神様に首根っこを掴まれてデスルームにやってきた。 その光景を見てキッドは泡を吹いて昏倒してしまった。 死神様は慌ててイカツいお面を外しいつものお面に変えてキッドに駆け寄ったが、 マリー、シュタイン、スピリットにこっぴどくお叱りを受けた。 「だってだって!キッド君がソウル君と婚約って! 親としてはやっぱり"娘は嫁にくれてやる、替わりにその面殴らせろ"ってもんでしょー!」 ねぇ、スピリット君。と同意を求められれば、スピリットはその通り、とうっかり頷いてしまった。 そんなスピリットを押しのけて、今度はマリーが死神の前に出る。 「キッド君はそもそも娘じゃないし、今日はエイプリルフールじゃないですか。 キッド君がせっかく気を使って、最近ぴりぴりしてる死神様に気を紛らわしてもらおうとついた嘘を…」 ぷりぷりと怒り出すマリーにごめんごめんと言ってはいるが、果たして本当に反省しているのかどうか。 「だってさー。蝶よ花よと育ててきたのに、どこの馬の骨とも知れない男にとられてさー。」 口を尖らせてぶーぶー文句を言う死神様。 「ま、でも…。 キッド君がわたしのためを思ってついてくれた嘘、嬉しくないわけじゃないよ。」 ただ、ちょーっと趣味が悪かったかなぁ。 今となっては落ち着いてのほほんと茶など啜っているが。 そのお面の奥、死神様の目がキラリと光ったのを、スピリットは見逃さなかった。 意識を取り戻したキッドが、父・死神の姿を認めて慌てて抱きつき 泣きながらごめんなさい、と謝るのをデレデレと嬉しそうに抱きとめて死神様は始終ご機嫌だった。 一方ソウルは。 死神様からの死神チョップ半殺しコースを喰らって未だ昏倒していた。 今回の一番の被害者は、ソウルだった。 |
|
バレンタインもホワイトデーもスルーしたのに、 エイプリルフールはのっかってみましたwww ソウキド(?)前提の死キド。 っていうか、子煩悩なんですよ、死神様は。 キッド君がどうしてソウルと婚約したとか考え付いたのか〜とか 一切なくて書き込みが足りず、明らかに急いで書いた感満載です。 もうしわけない。 |