その後


行為が終わった後、烈は何とか起きて、豪に抱えられて風呂に入った。
風呂の中でも何かされるのではないかと、内心気が気ではなかったが、豪は困ったように笑うだけだった。

「本当は触れていたいけど…我慢してんだぜ。烈兄貴の事、大事だから…さ…」

烈の体に浮かぶ数々の鬱血に、再び伸びそうになる手と理性を、必死で押さえ込んでいるらしい。
短気で我慢する事が少ない豪にしては、なかなか頑張るものだと感心するし、何より有難い。
受け入れる作りではない体で、初めから無理はしたくない、と言うのが烈の本心だ。

手早く汚れを落として、パジャマに着替えると、再び豪に付き添われて自室へ戻った。
布団に入ると、当然のように豪も潜り込んでくる。

「豪…狭いだろ。自分の部屋に戻れよ。」
「ヤダ。風呂場では我慢したんだから、これくらい許してよ、烈兄貴。」
「おまえなぁ…風邪引いたらどうするんだよ、この定期考査前に!」

背後からぴったり寄り添って、抱きしめてくる豪の腕から逃れながら、烈が溜息混じりに呟く。
しかし、豪の手を払いのけられるほど体力も気力も残っておらず、烈は渋々布団にもぐりなおす。

「大丈夫。俺、烈兄貴だけは絶対風邪引かせない。」

耳元に注ぎ込まれるように、囁かれ、烈の体温が上昇した。

「…もう寝るぞ…」

先ほどまでの痴態を思い出してしまい、烈は豪の言動を遮って、眠りに逃れる。
時計の針は既に3時を回っていたし、早く寝ないと本当に寝坊してしまいそうだ。

「烈兄貴、明日、俺ジュンにちゃんと言うからさ。」

俺たちの事、と伝える最中、先に豪の方が眠りに落ちたらしい。
明日、ジュンに伝えるという内容に、烈の鼓動が早くなる。
豪からの伝い聞きだとしても、ジュンが思っているのは烈だと伝えられ、嬉しいのだが、複雑な心境だ。
考えれば考えるほどに頭が働かなくなるが、途中で烈は考える事を放棄した。
もう自分達は普通の兄弟には戻れないし、これから先も、きっと兄弟二人、くっついて居なければダメだと、
予感めいたものが烈の中にあったせいだろう。

その日、烈は、求めてやまなかった豪に抱きしめられ、眠りに落ちた。





――― その後のジュンと豪



「で…?豪、アンタ…それってどういう意味か分かって言ってんでしょうね?!
完全なる同盟違反よ!どうすんのよっ!違約金払いなさいよっ!!」
「い…違約金…ったって…!仕方ないじゃんかよ!」

ジュンのものすごい剣幕に、豪はたじたじだ。
なぜ同席を求められたのか、今更ながらに烈は理解した。

烈を盾に、その背後から大きな体を丸めて、ちょこっとだけ顔を覗かせた豪が、ジュンにひたすら謝っている。

「烈!早くどいてよっ!!この節操なし種馬男を排除してやるんだからっ!」
「…ジュンちゃん…種馬って…」
「だってそうじゃない!アタシの烈になんてことしてくれたのっ?!豪!そこへ直れー!!」

怒り心頭…といったところか。
ジュンは遂に涙まで浮かべて、拳を振るいながら怒り出してしまった。

「アタシが…どれだけ烈の事好きかって…アンタだって分かってるでしょ?!」

それなのに…と呟いて、急に沈み込んでしまう。
豪から知れたためか、ジュンは臆面無く『烈が好き』と口にする。
それを聞いて、烈は嬉しいのだが、恥ずかしくも感じ、思わずうつむいてしまった。

「ジュン…」

意気消沈のジュンに、豪はどう言葉を掛けて良いか分からなかった。
少なくとも、幼い頃からずっと一緒にいて、ずっと同じ人を好きだったのだ。
どれだけ好きか、なんて言われなくても分かっていた。

だが、それは豪だって一緒なのだ。
もし烈が他の誰かと付き合ってしまったら?
ジュンと同じように、それ以上にどうなってしまうか分からない。
気持ちが解かるだけに謝る他に何もできない。

「ジュン…悪い…。でも…烈兄貴の事、絶対幸せにするから…。」
「当然よっ!烈を幸せにしないなんて…そんなこと、ありえない!」

涙を拭って、ジュンは顔を上げた。

「…ごめんね、豪。本当は祝福してあげなきゃって…頭では分かってるんだけど…
今はちょっと無理そう。でも、いつかちゃんと言うから…。」
「ジュン…」
「ジュンちゃん…」

さっきまで賑やかだったと思ったが、今はすっかり沈黙が支配していた。

「烈、アタシね、ずっと烈の事が好き。小さい頃からずっと。
烈は、アタシと豪が仲良いって思ってたみたいだけど…。断じてないから!
もし豪が厭になったら、いつでもアタシのところに来て!」

烈を真剣に見つめ、ジュンが烈の手を取る。
その様子を見て、豪が慌てたように二人の間に入ろうとした。

「だーっ!やめろよジュン!烈兄貴に変なこと言うなっ!」
「あら、変な事って何よ!アタシは本心を言ってるだけじゃない。」

ジュンの恨み言はまだまだ沢山出て来そうだった。



その後も、ジュンは相変らず星馬家に出入りし、何かと豪の邪魔をしたとかしないとか。





――― その後のブレット



「やぁ、レツ。久しぶりだな。」
「ブレット!またでかくなった?」
「お前もキレイになったな。どこのプリンセスかと思った。」

これもアメリカンジョークなのか良く分からないが、ブレットが烈の手を掬って、
その甲に口付けを落とそうとする。
が、それよりも早く烈の体が大きな障害物の陰に隠れてしまった。

「…ところで、レツ。俺は今日、こんな大きな"障害物"まで呼んでなかったと思うんだが…」
「ごめん、ブレット。どうしてもって聞かなくて…」
「なんだよブレット!俺が居ると都合が悪いのかよ?」

ブレットのガイドをすると約束していた日、
出かけようとする烈にどうしてもくっついて離れなかった豪が、ブレットの前に立ちふさがる。
時間に遅れるのも申し訳ないと思って、思わず連れてきてしまったが、
ブレットが現れて早々、烈は軽い頭痛を覚えた。

そんな烈の気を知らずに、挑戦的にブレットを睨みつける豪。
その視線を軽く受け流しながら、ブレットはふぅっと溜息をついた。

「全く持って都合が悪い。
今日はレツとのデートだと思って来たからな。
烈が好みそうな美術館のチケットに、夜景の美しいレストラン、全部二名分だ。」

詫びれる風もなく告げるブレットに、豪が唇を噛む。

「ブレットぉ、今日は烈兄貴にガ・イ・ド!頼んだんだろ?」
「俺の国では、好きな相手に最高の愛情を注ぐものだ。それに、サプライズは当然だろ?
どうやら、ニッポンダンジは違うみたいだが?」

烈の頭一つ分上で繰り広げられる会話と飛び交う火花に、烈は小さく溜息をついた。


end...




五万打を突破しました際、『当サイトはリクエストが少ない』と嘆きましたところ、
キャッチしてくだすったお客様からのリクエストでございます!
不肖・朔雲、全力投球させていただきました!
(…の割に、肝心の部分が朝チュン終わり、とか言う点については、どうかご容赦くださいm(_ _)m)

久しぶりのレツゴ更新、久しぶりの豪烈で偽者注意報が出ていそうな気がしますが、
頂いたお題にあっておりましたでしょうか…