人当たりが良くて、 笑顔がかわいくて、 手先が器用、 風貌は女の子みたいにかわいいのに 芯はめちゃめちゃ強くって、 一度言い出したら聞かない頑固な面もあって、 考え込んだり思いつめたりもするんだけど 自分で進むべき道をちゃんと見つけられる。 周りのみんなには優しいのに、俺にはとことん厳しい。 これが俺の自慢の兄貴。 ブラコンなのは分かってる。 けど、烈兄貴以上の兄貴って世の中に居ないと、俺は思ってるワケ。 いつものように、俺は烈兄貴のベッドに陣取り。 烈兄貴は机に向かって勉強してる。 たまに、『おまえも宿題くらいしろよ。』と声を掛けてくれる。 あとで〜、なんて適当に返事しながらマンガを開いてこっそり兄貴を盗み見る。 漢らしい性格のくせに女みたいな顔。 その辺の女よりかわいいかもしれない。 くりっとした紅い瞳。 長いまつげ。 すっと通った鼻筋。 細くてやわらかい髪の毛。 『かもしれない』じゃない。その辺にいる女の子よりかわいいと断言できる。 俺に見られているとも気づかず、烈兄貴は算数の教科書を開いて問題を解いている。 1つ年上の兄貴。 俺が生まれたときから俺の兄貴な訳だけど、 家族ってせいか四六時中くっついてても飽きないんだよな。 そりゃ、喧嘩するときもあるし、そういう時は俺は自分の部屋に篭るけど。 基本的に、俺の居場所は烈兄貴の部屋だったりする。 「豪。いつまでもマンガ読んでないで、宿題やっちゃえよ。 俺が見てやるから。」 自分の分の勉強が終わったのか、兄貴が椅子を反転させて俺に向き直る。 慌ててマンガに目を落とした俺は、うむむ。と唸ってしまった。 「えー。めんどくせぇよ…」 「面倒、じゃなくてちゃんとやって行けよ。ホラ、豪。」 ぺしぺしと机を叩いて、宿題を持ってくるように要求する兄貴。 どんな仕草もかわいく思えてしまうのは、病んでいるのだろうか。 「へーい。分かったよ、烈兄貴。」 しぶしぶ、ベッドから降りて自分の部屋に勉強道具を取りに行く。 本当は、兄貴に勉強教えてもらうの嫌いじゃないんだけど。 勉強してる間は兄貴の事見ていられないから、好きじゃなかったりする。 ブラコンなのは重々承知してる。 俺がまだ幼稚園に通ってた頃。 初めてジュンと会ったときだっけか。 自己紹介も済んで、公園で3人で遊ぶことになったとき。 俺が『れつにーちゃん』と呼ぶのを真似てジュンも『れつにーちゃん』って呼び始めたんだ。 それを聞いて俺はモーレツに厭な気分になった。 だって、烈兄貴は俺の兄貴なんだから。 ジュンが『れつにーちゃん』って兄貴を呼ぶのはおかしい。 (ま、今じゃそれが普通になっちまってるけど…) そこで生まれて初めて俺は『嫉妬』ってやつを経験した。 ジュンが『れつにーちゃん』と言って兄貴の後を歩くのが面白くなくて、 突き飛ばしたんだよな、俺。 『れつにーちゃんは、僕のにーちゃんだ!おまえのじゃない!にーちゃんって言うな』 なんだか悔しくて、びーびー泣きながら烈兄貴にしがみついて ジュンから遠ざけようと必死だった記憶がある。 今思えばそれがブラコンの始まりだったような、そうでないような。 今でもジュンにはその当時の事を言われて気恥ずかしくなる。 烈兄貴も、『その当時の豪はかわいかったよなぁ。それがどうしてこんなかわいくない弟に…』 なんてため息つきながらからかってくるけど。 基本的に俺がブラコンなのは変わってねーからな。 なんだかんだ言っても烈兄貴が一等好きだ。 「こら、豪。ちゃんと聞いてるのか?」 「いてっ」 こつん、と額を小突かれて我に返る。 そういえば、兄貴に勉強見てもらってる最中だった。 「面積なんて、公式覚えるしかないんだから頑張っておぼえちゃえよ」 教科書の太字になっている部分を指でトントン、と叩きながら、 ため息混じりに兄貴は言う。 ぷっくりした唇とか、触ってみてーって思ったのは、きっとブラコンだからなんだと思う。 うん。 「わかったよ烈あにきー…」 ちぇっと俺は軽く舌打ちする。 この時の俺は、まだ『ブラコン』の4文字で事が済むと思っていたんだ。 |
いまさらながらのレツゴ。 豪の初恋認識未満ちっくなお話。 これからぼちぼち、初恋未満 → 恋 → 愛みたいな! 成長とともに自分の抱いている感情を思い知ると良いと思う。 レツゴは基本的に 常識人なおにーちゃん・烈と、カッ飛びぶっ飛び・豪 だと良いと思っている人です。 だから烈にーちゃんは豪のつっぱり・張り手・ねこだましなどさまざまな押しに負けて なびいちゃうと良いと思う。 |